本稿を書くにあたって資料を調べているうちに、過去のフランス語学科同窓会会報に衝撃的な記事があるのを発見しました。
2013年の就職懇談会に関わる記事が、会報の1ページをぶちぬいて掲載されています。
書き手は、山岸真太郎・上智大学フランス語学科同窓会副会長(株式会社ネクセス都市環境 代表取締役)。
この記事によると、
「金曜日の夕刻という忙しい時間をやりくりして四谷に足をお運びくださり、後輩のために熱意あふれるアドバイスをたくさんいただきました。深く感謝いたします」
「講師役のみなさま、貴重なお時間とお話をありがとうございました。この場をお借りして、あらためて御礼申し上げます」
とありますので、懇談会のあとのお礼はちゃんと言っているという主張は成り立つのかも知れません……… 「あらためて」の前段にお礼を言われた覚えはないのですが。
この記事では、ずいぶんと感動的で実りの多い催しであるかのように書かれていますが、実際に講師役を務めていた僕にとっては、以前にも述べた通り、多少ならず不完全燃焼の気持ちが残る会合でしたし、講師役卒業生への粗雑で非礼な対応については、もちろん同窓会自身が触れることはなく、なかったことにされています………
ともあれ、昭和時代ならいざしらず、このご時世に、開催後3ヶ月以上経ってから紙媒体を郵送という態様に、今更ながらではあるものの、少なからぬ違和感を覚えてしまったものでした。そうしている間に在校生の就職活動は始まってしまっているのですから。
「同窓会がハブとなって卒業生と在校生を結ぶ方法を模索しております」
と宣言している以上、就職懇談会は人集めをしておしまいという合コンではなく、後のフォロー・アップが必要になることを、同窓会自身が認識していることになります。
ありふれた想像力を持ち得るならば、懇談会に対する学生からのフィードバック、当日聞けなかった質問、就活に突入してから初めて疑問に思った事柄などを、在校生は誰に問い合わせれば良くて、誰がその対応をするのかといったことは、誰もがすぐに考えつくことだと思うのですが。
イベントから3ヶ月も過ぎた後で、これから模索しますなどと宣言せずとも、その日の晩にでも動き出すことができたのではないかと思うのですが。
会報に見映えのする記事や写真をのんびりしつらえて、
「俺たちは頑張っている! お礼も言っている! 何も悪くない!」
と威張ることはできるのかも知れませんが、開催前後の段取り、次のステップを見据えた根回しといった水面下での調整をしないままでは、当てずっぽうで独りよがりの空回りになってしまいませんか、フォロー・アップに不可欠となる講師役卒業生の協力を得ることはままならないのではないですか、何より、主役である在校生の視点には寄り添えないのではないですか、呼びかけをしたというアリバイづくりに励むだけでなく、実際に行動して自分から汗をかかなければ、「同窓会がハブとな」ることなど覚束ないのではないですか、という懸念を多分に感じるのですが。
さて………
僕が衝撃的と形容した肝心の記述は「同窓会がハブとなって卒業生と在校生を結ぶ方法を模索しております」の前段にありました。
「どうしたら安全に個人情報を同窓会で管理できるかという議論もあり、来年度までに間に合うかどうかわかりませんが、同窓会がハブとなって卒業生と在校生を結ぶ方法を模索しております。具体化に向けて取り組んで参ります」
(傍線、太字は引用者)
なんと、2013年11月の就職懇談会の時点、遅くとも2014年2月の同窓会会報発行の時点で、上智大学フランス語学科同窓会は「就職懇談会に参加する卒業生の情報は、同窓会が安全に管理すべき個人情報である」と認識していたではありませんか。
この言明の主は、先にも述べた通り山岸真太郎・上智大学フランス語学科同窓会副会長(株式会社ネクセス都市環境 代表取締役)。
この認識は、風間烈・上智大学フランス語学科同窓会会長及びその代理人・池田昭弁護士(第二東京弁護士会所属, 弁護士登録番号15626, 池田法律事務所, 〒150-0002 東京都渋谷区渋谷1-8-6 宮益坂STビル9階, Tel: 03-3406-4947, Fax: 03-3406-4948)がのたまう、
「会報の(中略)記載は、当会がこの名簿(引用者註:同窓会の卒業生名簿)で把握している個人情報の第三者提供についてのもので、イベントの担当者がたまたま知り得た情報については、管理方法等が未定であるため、この対象には今のところ含まれておりません」
(『回答書』)
との説明と合致するでしょうか。
就職懇談会を担当する同窓会副会長が、講師役卒業生の「個人情報」を「安全に管理する」方針を2年も前に同窓会会報で宣言していたことはすなわち、規定に書かれていなかったので管理が漏れていましたとか、管理すべきという認識がなく注意しませんでしたという錯誤や過失ではなく、管理が必要と認識していながら、対策を講じるどころか、「たまたま知り得た情報については、卒業生名簿とは別物だから管理方法等が未定」とのたまい、「安全に個人情報を同窓会で管理」どころか、恣意に個人情報を放置していたことになるのですが。
以前、鍋島宣総・上智大学フランス語学科同窓会事務局長(日本コムジェスト株式会社 元代表取締役、2015年5月22日解任)から「学年幹事」なる役職への就任を勧誘された際、僕は以下のメールを受け取っています:
「学年幹事の主な役割は(中略)同窓会名簿上の連絡先不明者の住所を確認してもらうことなどを考えいてます。つきましては、1995年入学年次の学年幹事を水野様にお願いできればと思います。よろしくお願いいたします」
(2015年5月2日付メール、誤字含め原文のママ)
卒業生の最新の連絡先を得ることは、同窓会にとって重要な課題であることが伺えます。
では、卒業してから時間のたったOG/OBが、同窓会の催しに現れて名刺を置いてゆくなりしたら、それは卒業生名簿を最新の情報に更新できる貴重なチャンスではないのでしょうか。
強引な勧誘をしてまで「学年幹事」を集め「住所の確認」を目指す同窓会組織は、就職懇談会を通じて、最新の連絡先といういわばお宝を本人から手に入れた時に、その情報を卒業生名簿の一部として扱わないのでしょうか。
その最新の連絡先は、同窓会が会報で言う「把握している卒業生の個人情報」そのものではないのでしょうか。
僕の眼から見ればお宝であっても、同窓会にとっては、管理方法を決めずにおいても構わないような代物なのでしょうか。
そして、同窓会の個人情報管理規定は一向につくらないけれど「『イベントの担当者がたまたま知り得た情報』は同窓会名簿とは違う」という枝葉末節な定義だけはせっせと策定して、わざわざ別枠にしていたのでしょうか。同じ卒業生の同じ個人情報なのに。
また、同窓会側は「管理方針が未定」と主張していますが、山岸真太郎副会長(株式会社ネクセス都市環境 代表取締役)が会報で
「どうしたら安全に個人情報を同窓会で管理できるか」
と表明してから2年近くもの間、一体何をしていたのでしょうか?
「同窓会活動ですので、なにかを変える場合は多くの役員の賛同を得る必要があります」
(2014年11月1日付Eメール)
とのご高説を垂れていた山岸真太郎副会長ご自身が言明された
「どうしたら安全に個人情報を同窓会で管理できるか」
との方針は「なにかを変える」ことにほかならないと思いますが、それが会報に掲載されたのは、「多くの役員の賛同を得」た結果ではないのでしょうか。違う言い方をすれば、「多くの役員」の眼を盗んで、その賛同を得ていない内容を、山岸真太郎副会長の独断で会報に掲載することは難しいと思うのですが。
となると、上智大学フランス語学科同窓会役員たちは、「就職懇談会に参加する卒業生の情報を同窓会が安全に管理すべき」との方針に賛同しながら、管理方法が未定だから管理しませんとのたまい、揃いも揃って個人情報をぞんざいに扱い好き放題に利用していた、と判断せざるを得なくなるのですが。